冬の時期に気を付けないといけない事故に「火災」があります。
最近、日本各地で火災の報道がされていますが、「フェーン現象」が発生すると火災の被害が甚大になることがあります。
フェーン現象とは何でしょうか?
そしてどのように発生するのでしょうか。
それでは、いってみましょー!
フェーン現象とは?
そもそも「フェーン」とは、『湿った空気が山を越えて反対側に吹き下りたときに、風下側で吹く乾燥した高温の風』のことを言います。(気象庁HPより引用)

「フェーン現象」とは、フェーンによって高温が引き起こされる現象のことです。
フェーン現象の仕組み
先ほども解説した通り、フェーン現象とは「湿った空気が山を越える際に、乾燥して高温になる現象」ことです。
どうして最初は湿っていたのに乾燥するのでしょうか。
そしてなぜ「高温」になるのでしょうか。
ポイントは2つです!
ポイント①上昇するときは温度が下がりにくい!
水分を多く含んだ空気は、上昇するときにそんなに温度が下がりません。
これは水蒸気が水滴や雪に変わるときに潜熱(せんねつ)という熱を周囲に放出するためです。

ポイント②下降するときは温度が上がりやすい!
一方で下降する空気は、ギュッと圧縮されるため温度が上がります。
さらに、水蒸気がなくなっているのでより温度が上がりやすくなります。

具体的には、
・100m上昇…0.5℃しか下がらない
・100m下降…1℃上昇
という感じです。
この差がフェーン現象を引き起こしていたんですね!

問題に挑戦!!
例を出してみましょう。
「水蒸気を含んだ5℃の空気が1000mの山を越えた」とします。
はたして山を越えた先では何度になっているでしょうか?
考えるポイントは先ほど解説した通り、
・100m上昇…0.5℃しか下がらない
・100m下降…1℃上昇
正解は…!
…
…
10℃です!
解説しましょう!↓
まずは山をのぼるとき。
100mごとに0.5℃下がるので、合計で5℃下がります。
結果、山頂では0℃になります。↓

一方で山から下がるとき。
100mごとに1℃上がるので合計10℃上がります。
結果、山のふもとでは10℃になります。↓

スタート時よりも5℃も高くなりました。
これが「フェーン現象」です!
いつ発生しやすい?
1年を通して日本各地で発生しますが、特に発生しやすいのは次の3つの時期です。
大規模な火災の原因にもなりますので、この時期は特に火の取り扱いには十分注意しましょう!
1.初夏〜秋にかけて(5月〜9月頃)
この時期は夏ということもあり、高温になりやすく熱中症や農業被害のリスクが高まります。
低気圧や台風が接近し強い南風が吹いた場合、 日本アルプスを越えて北陸地方で気温を上昇させるなどの事例があります。
過去の記録では、5月にもかかわらず30℃を超える真夏日になったこともあります。
2.冬(西高東低の気圧配置の時)
前回の記事で紹介した「太平洋側での高温や乾燥」がまさにこのパターンです。↓
日本海側からの風が、山を越えた太平洋側の地域(特に沿岸部)で、乾燥した北西の強風となります。
冬なので高温にはなりにくいですが、乾燥と強風で火災リスクを高めます。
3.春(冬型の気圧配置の崩れや低気圧通過時)
春の日本列島は移動性高気圧と低気圧が交互に通過するようになります。
フェーン現象が起こりやすいタイミングは、日本海で低気圧が発達したときです。
この低気圧に向かって南から風が吹き込み、日本海側で高温で乾燥したフェーンが吹きやすくなるのです。
一気に雪解けが進むこともあるため、雪崩や土石流などの災害にも注意しましょう。
まとめ
火災が起きた際によくフェーン現象が取り上げられますが、これは乾燥+高温という被害が拡大しやすい条件がそろってしまうからこそだったんですね。
冬の時期にはさかんに火の用心が叫ばれますが、フェーン現象が発生しやすい時期は他にもあります。
みなさんも、火の取り扱いには十分注意してくださいね!
それでは、また!



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